顎関節症

顎関節症

口が開くようになり食事が楽しくなった。

カテゴリ: その他の症状でお悩みの方

40代女性

来院に至った経緯

昔から左顎を開けるたびにカクカクと音がしていましたが、特に痛みがなかったため、自然に治るだろうと思い、そのまま放置していました。しかし2年前、硬いものを食べた際に突然左顎に強い痛みを感じ、近所の接骨院に通うことになりました。

診察の結果、「肩こりが原因で顎には問題がない」と説明され、実際の施術も肩と首が中心で、顎自体には触れられることはありませんでした。少し不信感を抱きながらも通院を続けたところ、確かに強い痛みは和らいだものの、違和感はずっと残ったままでした。結局、そのまま通院をやめてしまいました。

その後数ヶ月前、再び急激に痛みが増し、口がほとんど開かなくなってしまいました(指2本ほどしか縦に入らない程度)。何とか食べられるものを選びながら食事を続けていましたが、噛むたびに耳の奥にカクカクと響くようになり、左顎の痛みも重なって、食事が苦痛に感じるようになってしまいました。

そんなとき、ふと思い出したのが近所にあったカイロプラクティック。相談してみたところ、顎関節の症状にも対応実績があるとのことで、カイロプラクティックについてはあまりよく知らなかったものの、思い切って通院を始めることにしました。

症状としては、口を開けるとカクカクという音が耳に響く状態で、難聴や耳鳴りはなく、顎をぶつけたような外傷歴もありませんでした。

初診の状態

  • 01

    右へ頭部の傾き

  • 02

    左頸部の過緊張

  • 03

    右仙腸関節の可動制限

経過と内容

【経過と内容】
腰部や頚部椎間板の状態がD3(2~5年経過)であったが、頸部の生理的カーブが消失し慢性化している点と、左頸部の緊張が強く、顎関節開口障害が出ていることから週2回のケアが考えられたが、仕事の都合も考慮し週1回のケアからスタートした。
右仙腸関節と左アトラスの副交感神経サブラクセーションからアプローチを絞ってケアを始めた。

1週目(1回目のアジャストメント)には、アジャストメント後には顎のガクガクした感じは残る物の開口が指2本が3本まで開くようになった。
2週目(2回目のアジャストメント)には、問診時に特に訴えていなかったが、日中におこる頭痛や倦怠感が軽減してきた。顎の状態は現状維持の状態。食事もおかずを小さく切って食べている状態が続く。
3週目(3回目のアジャストメント)には、仙骨の浮腫や後頭下の浮腫も軽減してきた。左頸部の緊張も軽減したきた。
4週目(4回目のアジャストメント)には、顎のガクガクが大幅に軽減し、殆ど気にならなくなった。開口も全開までいくようになった。食事も普通に食べれるようになった。
6週目(5回目のアジャストメント)
症状が少し戻ってしまい顎のガクガクが気になるようになった。アジャストメント後は回復した。状態が良くなってきていたので1ヶ月に1回の予防のケアに移行した。
現在も1ヶ月に1回のケアで予防を継続している。

【所見】
頸部:ROMfull バレ・リュー(-)マイグネ(-)

【体表温度検査】
C1・T1・右SI

【視診】
左耳介上方
右肩峰上方
右短下肢

【静的触診】
左後頭下浮腫
右SI浮腫
左頸部過緊張

【動的触診】
Fix:右SI・T1・C7・C6・C1
Hyper:T2

【レントゲン評価】
腰椎カーブ正常
頸椎カーブ消失
全体的な椎間板スペースD3程度

【リスティング】
RIli-PIIN
ASLA
左顎関節AI

考察

今回のケースでは、第1胸椎から第6頸椎にかけての可動域が制限されていたことにより、頚部および肩周囲の筋緊張が高まり、結果として顎関節の機能障害が引き起こされていました。

第1胸椎のアジャストメントも選択肢として検討しましたが、右側骨盤の可動性制限の影響が大きく、また開口時には顎関節だけでなく、後頭骨および第1頸椎との関節運動も関与するため、顎関節症の主な要因(メジャー)は第1頸椎にあると判断しました。さらに、交感神経優位による頚部や咬筋の過緊張も顎関節機能障害の一因と考え、副交感神経領域のサブラクセーションへのアプローチを決定しました。

骨盤のアジャストメントを行った後には、左側頸部の過緊張が軽減し、第1胸椎から第6頸椎にかけての可動性も改善が見られました。このことから、骨盤という身体の土台の不安定さが頚部に波及し、頚肩部の緊張に影響を及ぼしていたことが推察されます。

患者は開口時に左顎に「ガクッ」とした動きとクラック音を伴い、左顎関節が前下方に変位していたため、これに対してアジャストメントを実施しました。施術を継続するうちにクラック音は次第に軽減し、最終的には消失しました。

副交感神経の機能が改善されたことにより、筋緊張が緩和され左顎の痛みが軽減。さらに環椎後頭関節の機能が改善されたことで、運動神経の伝達が正常化し、開口障害の解消にもつながったと考えられます。

孕石 尚志

執筆者孕石 尚志

昭和48年7月 静岡県島田市出身
東京世田谷にある東京カイロプラクティック師協会認定の附属治療院でのインターンを経て、2005年7月島田市にて開業。近隣医院と提携したレントゲン評価を導入した正統派カイロプラクティック院として評価され、新規患者の約7割が紹介という広告に一切頼らない口コミによるネットワークを確立。近年、母校であるカイロプラクティック界の名門塩川スクールにおいて、塩川満章D.C.の弟子として、ガンステッドカイロプラクティックの講師として活動中。

患者様の声

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