子どもの言葉の遅れには、年月を経るごとに自然と言葉が追いついてくる場合と、発達障害や聴覚障害の兆しとして言葉が遅れているという2つの場合があります。子どもが幼い段階ではその違いに判別がつきにくいことが多いですが、言語療法のトレーニングを受けていると、後から何らかの障害があるとわかった場合にも、専門家を通して適切なサポートを受けることができます。子どもの言語療法では、言葉に対してだけではなく、運動やコミュニケーションなどその子どもの発達全体に働きかけるようなトレーニングが行われます。
子どもへの言語療法の流れは、保護者への問診、遊びを通した行動評定、聴力検査、発達検査、言語学習診断検査などにより、言葉の遅れや偏りの原因を見極め、支援の目標やトレーニングが決められます。子どもの言語療法の支援は、個人へのアプローチ、環境へのアプローチ、家族へのアプローチの3つの観点から行われます。
◆個人に対して
子どもが楽しみながら社会性を伸ばし、日常生活で使える言葉を獲得することを目指して、個別、または集団で遊びを取り入れたトレーニングが提供されます。子どもの言語の発達レベルに合わせて、聞く、読む、話す、書くことという言葉全般に働きかけてトレーニングを行っていきます。その他には、コミュニケーションの面を伸ばすトレーニングも豊富に行われます。個々人によって原因は異なるものの、言葉に遅れや偏りがみられるときには、コミュニケーションの面にも偏りがみられることが多いためです。
楽しんで取り組めるような課題に取り組ませる中で、子どもが自発的に言葉を話せるようになることを促します。
◆環境に対して
発達段階や本人の状況に合わせて、トレーニングに集中して取り組むことのできるように、環境にも配慮を行います。例えば、部屋の中に集中を妨げる刺激物を最小限にし、スケジュールを黒板に書いて視覚的に伝え時間に見通しを持たせることで、子どもが過ごしやすい環境をつくるなどです。
◆ご家族に対して
子どもの発達について理解ができるように、検査の結果子どもの発達段階や、トレーニングを経たことによる子どもの言葉の変化について説明が行われたり、環境への配慮、日常生活の中でできるトレーニングなど、子どもの発達を伸ばすための工夫を教えてくれます。